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2009.07.01

人々を社会に合わせさせる? 社会を人々に合わせる?

日本では、もうずいぶん前から社会のさまざまな場所でストレスを抱え心身ともに健康を損なう人が多くなっている。いわゆる「ストレス社会」というやつか。
現代は文明が進歩していろいろ便利になったけれど、便利さに比例して楽になっていくと思われた社会は、なぜか楽にはならなかった。楽するために便利さを追求したはずが、さらに利益を追求するために、「楽」を犠牲にして利益を優先する生き方を選んでしまった。「楽より利益」が幸せだと思ったのだろう。なもんで、便利になっていけばいくほど、楽じゃなくなっていってしまったのかもしれない。「過労死」「過労鬱」は文明が便利になってから発生した病だ。楽しようと思って文明を便利にしたのに、いつまでたっても楽ができない。

以下はそういうことを皮肉ったと思われるジョーク:
メキシコの田舎の漁師が生きのいい魚を何匹か獲ってきた。それをみたアメリカのエリートビジネスマンが言った
ビジネスマン「いい魚だね。どのくらいの時間漁をしていたんだい?」
漁師「そう長い時間じゃないよ」
ビジネスマン「もっと長く漁をすればもっと魚が取れるのに」
漁師「俺と家族が食べる分はこれで十分さ」
ビジネスマン「じゃあ余った時間は何してるんだ?」
漁師「日が高くなるまでたっぷり寝て、魚を取って、戻ったら子供と遊んで、飯の後は女房とシエスタ。夜になったら友達と一杯やってながらギター弾いて歌う。・・・そんな感じで一日終わりだな」
ビジネスマン「僕はハーバードでビジネスを学んだから君にアドバイスしてあげよう。君はもっと長い時間漁をすべきだ。家族が食べる以上の魚を獲って、余った魚は市場で売り、お金を貯める。お金がたまったらもっと大きな漁船を買う。大きな船なら漁獲量も増えるから更に儲かる。そうやって儲けを増やしていったら市場で魚を売らずに自前の工場を建ててそこで魚を加工する。その頃には君はこんなしょぼい田舎じゃなくて、メキシコシティーに引越し、ニューヨークやロスで企業の指揮を取れるようになるよ」
漁師「そうなるのに何年かかる?」
ビジネスマン「20~25年かな」
漁師「それからどうなるんだ?」
ビジネスマン「(ニヤリと笑って)凄い事になるよ。今度は企業の株を売却する。そうすれば君は億万長者さ!」
漁師「それで?」
ビジネスマン「そしたら引退して、田舎に住んで、日が高くなるまでたっぷり寝て、昼は魚釣りしたり子供と遊んだり奥さんとシエスタしたり、夜は友達と一杯やりながらギターを弾いて歌って余生を過ごすんだ。ね、素敵だろ?」

同じ利益を半分の時間で達成できれば、利益も時間も得られて一挙両得。それが楽ってことなんだと思うけど、どうやら便利な文明を生きる人々は、「楽を犠牲にして利益を追求しまくらないと楽になれない」と思い込んでしまったらしい。楽を犠牲にしたら楽になれない。単純なことだ。利益は楽のための手段とされていたのかもしれないが、いまや手段が目的化している。そもそも、利益の追求は楽の絶対条件ではない。「利益を極限まで追求しなければ楽になれないという」催眠暗示を、どこでかけられてしまったのだろう? 社会がまるごとそんな暗示にかかったせいで、本当にそんな社会構造になり、そういう生き方しか出来なくなってしまったみたいだ。
「楽になりたければ楽を犠牲にして利益を追求しろ」まるで「健康のために命を犠牲にしなければ健康は得られない」みたいなジョークのようにも感じる。
楽を求め楽を得る術を持ちながら、それを生かせない。特に日本はそういう傾向があるのかもしれない。

文明が便利になってから生まれたストレス社会。そんな世界では、よく「生きてるのがつらい」「生きにくい」という言葉を耳にする。これは多分、生きてるのがつらいんじゃなくて、そんな生き方がつらいだけだろう。さもありなん。

文明が進歩して以降の近代社会というものは、人間達が「その方が生きるのに便利だ」と思って作っていったシステムなわけだから、人間達に従い人間達に合わせて役割を果たすのはあくまでも社会の側。
しかしいつの間にか人と社会の立場が逆転して下克上になってる。社会であれなんであれ、「システム」というものは、物事の進歩や発展のためにその時の状況に合わせて便宜的作られたもの。階段のステップに例えれば上へ登るための一時的な踏み台として利用するものだ。決して万能で恒久的な支えになるものではない。もしもそれを恒久的な支えにしようとしたら、それは階段で一つのステップに踏みとどまり上へ登れずに足踏みしている状態。進歩も発展もしていない証。階段のステップを上へ登る踏み台ではなく、その段階に固定して縛りつけることになる。上に登れず、進歩と発展は可能性と共に抑圧される。すると階段を登ろうとする本能は、多分苦しむ。

もはや人間達は生物的に見ても自分で作った今の社会に己を合わせられなくなって来ている。無理に合わせようとすると人間本来の生命活動に支障を来たしストレスなどで健康を損なう。それでもなお自分を社会に合わせようとしている。時には、合わせられない自分を責めながら。合わせられない誰かを責めながら。
楽するために作ったはずの便利なテクノロジーを、楽を犠牲にしてまでやたらと乱用した結果、人間を含む自然界全体にストレスを与えてしまった。
そういう不便な社会には自分を合わせられないと感じた気後れでニートになった人もいる?
不便な固定観念に支配され、自由な発想や生き方を束縛され、抑圧されてしまった社会。支配者が目に見えない分だけ、独裁者よりもタチが悪い?

便利さを発達させたのは楽をしたいから・・・楽をしたいのは、今までとは違う自分を生き、今までとは違う生命の可能性を見つけたいから・・・生命力が圧迫されたら、それもできない。生命力の可能性は、閉ざされてしまう。
楽になった経験が少ないと、楽になった時間をどう生きればいいかわからず不安になったり、「楽=クビ」なんて連想が怖くて仕事中毒になることさえある。楽を求めてはいながらも、楽が怖い。それは、今までと違う生き方が想像もつかない未知のものだから。それは怖い。視野が固定されて今までのステップだけを凝視したまま前が見えずに階段を踏み出すようなもの。「有意義=利益追求」という視野固定が取れないと、怖いのかもしれない。
そこまでになる前に、自分の生きる喜び(自分の存在価値)には「利益の創出」以外の様々な可能性やバリエーションがあることを気付いて受け入れておきたい。今までと違う生き方(例えば、楽な上に有意義と思える生き方とか)が存在しうる(存在しても許される)ということを認めておきたい。
進化のステップは一つきりではなく、今のステップの先には別の新たなステップがあることをいつも何となく感じておきたい。進化の階段。今までのステップは、次のステップの支えだ。仮に今までのステップの名前が「経済成長」とすれば、次の別のステップ(やはりこれも一時的な踏み台なのだが)の名前は、どう呼べるようになるだろう?
 
かつて人間が自らの生命活動を支援するために作り、しかしなぜか人間の生命活動を圧迫するようになった下克上的社会。SF作家ならロボットの反乱、村上春樹なら「壁」の例えで表現し、タロット占い師なら「塔」で表現するかも。
そんな下克上状態を正常モードに修理する時は、文字通り「天地がひっくり返る」ような未曾有の事態になるだろう(ちなみに今年は四柱推命では下克上を象徴する干支らしい。下克上モードの修理は、『下克上の下克上』と表現できるだろうかw)。それが修理のサインかもしれない(去年から修理期間始まってる?)。そのサインを、人によっては「終末」と表現しそう。特に、修理前の下克上モードを正義として強く執着して生きる人には恐ろしげな終末に見えるかも。
(けれども人は、時に終末願望を持つ。無意識の本能が修理を望んでいるからかもしれない)

修理中は人間なら入院中や手術中みたいなもので、今までと勝手がちがう分色々大変だけど、今までの不具合や圧迫が取れる良い兆しでもありそう。故障中より修理中の方が可能性がある。そして、単なる「修理」にとどまらず、そこからワンステップ上がって経験を生かした新たな「改修」「建て直し」に続くことも。
修理が終わった楽器は、以前よりいい音が出るはず。 今まで出せなかった音を出せるようになり、壊れていた時よりもはるかに広い可能性を得て、新たな音楽を作っていくかもしれない。


文明と生命力の使い道
村上春樹氏のスピーチ
経済ど素人の占い師があえて書いてみる

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